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ヤマトホールディングス/売上高は前年比3・6%増、経常利益は前年比49・8%減(平成29年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結))

決算短信 2023.06.17

平成29年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)

単位・百万円  

      売上高     営業利益    経常利益     当期純利益

29年3月期 1,466,852 3.6  34,885 △49.1  34,884 △49.8  18,053 △54.2

28年3月期 1,416,413 1.4  68,540 △0.6   69,426 △2.1  39,424 5.0

(注)包括利益 29年3月期  22,916百万円 (△6.4%) 28年3月期  24,482百万円 (△47.1%)

(略)

(1)当期の経営成績の概況  

当連結会計年度における経済環境は、企業業績は底堅さを維持し緩やかな回復基調が続いているものの、米国の政 権交代による政策運営の変化や欧州政治情勢による影響など、引き続き、先行きは不透明な状況にあります。また、 通販市場の成長の加速化等に伴い小口貨物が増加し続けている一方、国内労働需給の逼迫感がさらに強まっているな ど、物流業界を取り巻く環境は益々厳しさが増しています。このような環境の中、ヤマトグループは長期経営計画 「DAN-TOTSU経営計画2019」および中期経営計画「DAN-TOTSU3か年計画 STEP」の達成 に向けて、高品質で効率的な物流ネットワークの構築、また、グループの経営資源の融合による高付加価値モデルの 創出に取り組みました。

 デリバリー事業においては、「宅急便コンパクト」、「ネコポス」のご利用窓口拡大に取り組んだことに加え、通 販市場の拡大が継続したことなどにより取扱数量が過去最高を更新し増収となりましたが、労働需給の逼迫感がさら に強まる中、サービス品質を維持するための外部戦力を含めた人的コストの増加等により利益を圧迫しました。  ノンデリバリー事業においては、グループ各社の強みを活かした既存サービスの拡充に取り組むとともに、グルー プ横断的に連携してお客様の課題解決に当たるソリューション営業を積極的に推進しました。

 また、グループ全体の「働き方改革」を推進する上で行った社員の労働時間の実態調査を踏まえ、新たに認識した 労働時間に対する一時金を計上しました。

(略)

なお、当連結会計年度における株主還元策として、自己株式を約100億円、423万株取得しました。

<ヤマトグループ全体としての取組み>

① ヤマトグループは、各事業が一体となって付加価値の高い事業モデルを創出し、日本経済の成長戦略と、国際 競争力の強化に貢献する「バリュー・ネットワーキング」構想を推進しています。また、事業の創出・成長の 基盤となる健全な企業風土の醸成に取り組んでいます。

② 健全な企業風土の醸成に向けて、引き続き輸送体制の整備やITによる業務量の見える化など、業務の効率性・ 信頼性を向上させる施策を推進するとともに、環境施策や安全施策、地域社会の活性化に向けた取組みなど、 ヤマトグループの事業活動に結びついたCSR活動を積極的に推進しました。一方で、昨今の通販市場の急拡 大等により、体制の構築が追い付かず、労働環境が悪化する事態に陥りました。そこで、2月1日にヤマト運 輸株式会社では「働き方改革室」、グループ各社においては「働き方創造委員会」を新設し、「働き方改革」 に全社を挙げて取組みを開始しました。また、グループ全体で労働時間の実態を順次調査していたところ、多 くの社員が休憩時間を十分に取得できていない問題などが浮き彫りになりました。当該事実を厳粛に受け止 め、社員満足を向上させる取組みの一環として、新たに認識した労働時間に対し、一時金を支払うことを決定 するとともに、再発防止を図るため、ヤマト運輸株式会社の「働き方改革室」、グループ各社の「働き方創造 委員会」を中心に、全社一丸で「働き方改革」を断行することで、より社員が働きやすい環境の整備に取り組 んでいます。

③ 「バリュー・ネットワーキング」構想の推進に向けては、ヤマトグループのネットワークを活かした高付加価 値モデルの創出に取り組んでいます。国内外のお客様の様々なニーズに対応するために、既存のラストワンマ イルネットワークに加え、「羽田クロノゲート」、「厚木ゲートウェイ」、「中部ゲートウェイ」、「沖縄国 際物流ハブ」といった革新的なネットワーク基盤を、より効果的に活用しています。

④ 海外市場に対しては、ASEANを中心とした日本・東アジア・欧州・米州の5極間でのクロスボーダー輸送活発 化に向け、地域間の連携と各地域の機能強化に取り組みました。当連結会計年度においては、マレーシアを本 拠地とするクロスボーダー陸上幹線輸送事業者の買収や広州市を本拠地とする国際物流事業者への出資に合意 したことに加え、1月にタイ国内で宅急便サービスを開始し、3月には同国で「国際クール宅急便」の販売開 始を決定するなどASEAN・東アジア地域の領域をさらに広げることでクロスボーダー・ネットワークの構築を 積極的に推進しました。

 ⑤ 通販市場を中心としたお客様の利便性向上に向けては、駅などを中心にオープン型宅配ロッカーネットワーク の構築を始めるなど、手軽に荷物を受け取れる環境の整備に取り組みました。また、次世代物流サービス開発 に向け、インターネットサービスを提供する大手企業と連携し、自動運転技術を活用したオンデマンド配送 サービス等を提供する「ロボネコヤマト」プロジェクトを始動するなど、先端技術の導入を検討し始めまし た。

<事業フォーメーション別の概況>

○デリバリー事業

(略)

① デリバリー事業は、お客様にとって一番身近なインフラとなり、豊かな社会の実現に貢献するために、宅急便 を中心とした事業の展開に取り組んでいます。

② 社員の労働環境に対しては、昨今の通販市場の急拡大による大幅な荷物の増加と労働需給の逼迫によって、労 働力確保に向けた職場環境の改善は急務であることから、社員の新しい働き方を創造するための体制を整備し ました。また、「働き方改革」として、「労務管理の改善と徹底」、「ワークライフバランスの推進」、 「サービスレベルの変更」、「宅急便総量のコントロール」、「宅急便の基本運賃の改定」などを断行してい くことを決定し、より社員が働きやすい環境の整備に向けた取組みを開始しました。

③ 成長が見込まれる通販市場に対しては、小さな荷物をリーズナブルな料金で手軽に送ることができる「宅急便 コンパクト」、「ネコポス」の拡販を進めるとともに、複数のフリマサイトと連携し、発送窓口拡大を進める など、ご利用されるお客様の利便性向上に取り組みました。

④ 法人のお客様については、お客様の経営課題を的確に把握し、その課題に沿ったソリューション提案を積極的 に推進しました。また、グループの経営資源を活用した付加価値の高い提案を行い、収益性の向上に取り組み ました。 ⑤ 地域活性化に向けた事業としては、複数の自治体や企業と連携し、買い物困難者の支援、高齢者見守りなど、 住民へのサービス向上に取り組みました。また、農水産物をはじめとする生鮮品を鮮度を保ったままスピー ディーにアジア圏へ配送することで、地域産品の販売拡大を支援するなど、地元産業の活性化につながる取組 みを推進しました。

⑥ 営業収益は、引き続き通販事業者様への拡販を進めたことや、「宅急便コンパクト」、「ネコポス」のご利用 拡大に取り組んだことなどにより、宅急便の取扱数量が増加し1兆1,510億28百万円となり、前連結会計年度 に比べ3.5%増加しました。利益面では、労働需給の逼迫感がさらに強まる中、サービス品質を維持するため の外部戦力を含めた人的コストの増加や外形標準課税の増税等の外的要因によるコストの増加、新たに認識し た労働時間に対する一時金計上などが利益を圧迫し56億38百万円となり、前連結会計年度に比べ85.2%減少し ました。

○BIZ-ロジ事業

① BIZ-ロジ事業は、宅急便ネットワークをはじめとした経営資源に、ロジスティクス機能、メンテナンス・ リコール対応機能、医療機器の洗浄機能、国際輸送機能などを組み合わせることにより、お客様に革新的な物 流システムを提供しています。

② 通販業界等に向けたサービスとしては、お客様のご要望に応じて、受発注処理から在庫の可視化、スピード出 荷などの多様な物流支援サービスをワンストップで提供しています。当連結会計年度においては、前連結会計 年度から新しく取り組んだ企業間物流関連サービスの取扱いが増加したことなどにより、収益が好調に推移し ました。

③ メディカル事業者様に向けたサービスとしては、医療機器のローナー支援(保管・洗浄・配送)をはじめとす る、物流改革の支援サービスを展開しています。当連結会計年度においては、新規顧客を獲得するなど積極的 に拡販を推進しました。

④ 営業収益は、企業間物流関連サービスが好調であったことなどにより1,086億43百万円となり、前連結会計年 度に比べ1.7%増加しました。利益面では、海外関連事業の伸び悩みに加えて、リコール案件が減少したこと などにより40億72百万円となり、前連結会計年度に比べ17.0%減少しました。

○ホームコンビニエンス事業

① ホームコンビニエンス事業は、お客様の便利で快適な生活の実現に向けて、ヤマトグループの全国ネットワー クを活用し、生涯生活支援事業や法人活動支援事業に取り組んでいます。

② 個人のお客様に向けては、大型家具・家電の配送サービス「らくらく家財宅急便」や引越関連サービスなど、 日々の生活を支援するサービスを展開しています。当連結会計年度においては、お部屋の清掃や整理収納、不 用品の買取りなど日常のお困りごとを解消する「快適生活サポートサービス」の拡販を積極的に推進しまし た。

③ 法人のお客様に向けては、ヤマトグループと工事会社のネットワークを融合し、住宅設備などの配送・設置か ら工事・保守までをワンストップで提供する「テクニカルネットワーク事業」をはじめとする事業支援サービ スを展開しています。当連結会計年度においては、ふるさと納税返礼品などの調達サービスやオフィスサポー トサービスの拡販に積極的に取り組みました。

④ 営業収益は、快適生活サポートサービスや調達サービスの利用が好調に推移したことなどにより491億63百万 円となり、前連結会計年度に比べ0.4%増加しました。利益面では高収益なスポット案件の減少などにより10 億76百万円となり、前連結会計年度に比べ6.1%減少しました。

○e-ビジネス事業

① e-ビジネス事業は、お客様の業務プロセスの効率化や潜在的な課題の解決に向けて、情報機能に物流機能、 決済機能を融合させたソリューションプラットフォームビジネスを積極的に行っています。また、グループの 事業成長を加速させるため、従来のITにとどまらず、AIやIoTなどを用いた新技術の活用を推進しています。

② 商品の受注・出荷業務を支援するサービスとしては、出荷情報の処理や伝票印字、荷物追跡などの業務を包括 的にサポートする「Web出荷コントロールサービス」を提供しています。当連結会計年度においては、通販市 場の成長などを背景に、既存大口のお客様を中心にサービスのご利用が拡大しました。

③ 通信機器事業者様など、製品の個体管理を必要とするお客様に向けては、シリアル入出庫管理、在庫管理など の情報機能に、製品へのデータの落し込みや一部加工などのサービスを合わせて提供する「セットアップ・ロ ジソリューション事業」を展開しています。当連結会計年度においては、これまで培ってきたセットアップ技 術と物流ノウハウを活用し、IoT関連機器事業者様への拡販を積極的に進めました。

④ 営業収益は、「セットアップ・ロジソリューション事業」の取扱い拡大などにより456億39百万円となり、前 連結会計年度に比べ5.3%増加しました。営業利益は93億68百万円となり、前連結会計年度に比べ4.0%増加し ました。

○フィナンシャル事業

① フィナンシャル事業は、通販商品の代金回収、企業間の決済、および車両のリースなど、お客様の様々なニー ズにお応えする決済・金融サービスを展開しています。

② 決済サービスに関しては、主力商品である「宅急便コレクト」の提供に加えて、ネット総合決済サービス   「クロネコwebコレクト」や、電子マネー決済機能の利用拡大を推進しています。当連結会計年度において は、「宅急便コレクト」をご利用のお客様に対し、「クロネコwebコレクト」、「クロネコ代金後払いサービ ス」のご利用を促進し、お客様に幅広い決済サービスを提供するとともに、収益性の向上に取り組みました。 また、電子マネー関連サービスについては、引き続き「マルチ電子マネー決済端末」のレンタルサービスの拡 販に取り組みました。

③ リース事業では、トラックを中心としたファイナンス・リースや割賦販売が順調に推移するとともに、車両の 紹介や売却サポートなどの周辺業務を展開し、車両に関するトータルソリューション提案を推進しました。

④ 営業収益は、リース事業が順調に推移したことなどにより779億85百万円となり、前連結会計年度に比べ7.6% 増加しました。利益面では、主力の「宅急便コレクト」の取扱いの伸び悩みなどにより82億43百万円となり、 前連結会計年度に比べ5.3%減少しました。

○オートワークス事業

① オートワークス事業は、物流・流通事業者様へ「車両整備における利便性の向上」、「整備費用の削減」とい う価値を提供するため、「24時間365日営業・お客様の稼働を止めないサービス」を展開しています。さら に、「物流施設、設備機器の維持保全や職場環境改善」や、これらの資産を対象に「お客様のリスクマネジメ ントに繋がる最適な保険提案」という機能を付加することで、お客様の事業運営に係るワンストップサービス を実現しています。

② 当連結会計年度においては、定期的にお客様のもとへ訪問する「リペアワークス」の営業を積極的に行うな ど、取扱いの拡大に向け取り組みました。

③ 営業収益は、車両取扱台数の増加により246億13百万円となり、前連結会計年度に比べ0.6%増加しました。利 益面では新規サービスの投資が先行したことなどにより32億73百万円となり、前連結会計年度に比べ2.9%減 少しました。

○その他

① 「JITBOXチャーター便」は、複数の企業グループのネットワークを用いたボックス輸送を通じて、お客 様に「適時納品」や「多頻度適量納品」という付加価値を提供しています。当連結会計年度においては、既存 のサービスに加え、クールなどのオプションサービスが好調であったことにより、ご利用が着実に拡大しまし た。

② その他の営業利益は、ヤマトホールディングス株式会社がグループ各社から受け取る配当金などを除いて21億 82百万円となり、前連結会計年度に比べ3.5%増加しました。

<CSRの取組み>

① ヤマトグループは、人命の尊重を最優先とし、安全に対する様々な取組みを実施しています。当連結会計年度 においては、「第6回ヤマト運輸全国安全大会」を開催し、プロドライバーとしての安全運転のレベルアップ と全社の安全意識や運転技術の向上に取り組みました。また、子どもたちに交通安全の大切さを伝える「こど も交通安全教室」を平成10年より継続して全国の保育所・幼稚園・小学校などで開催しており、累計参加人数 は約299万人となりました。

② ヤマトグループは、環境保護活動を「ネコロジー」と総称し、環境に優しい物流の仕組みづくりに取り組んで います。また、次世代を担う子どもたちへの環境教育をサポートする「クロネコヤマト環境教室」を平成17年 より継続して全国各地で開催しており、累計参加人数は約23万人となりました。

③ ヤマトグループは、社会とともに持続的に発展する企業を目指し、ヤマト福祉財団を中心に、障がい者が自主 的に働く喜びを実感できる社会の実現に向けて様々な活動を行っています。具体的には、パンの製造・販売を 営むスワンベーカリーにおける積極的な雇用や、クロネコDM便の委託配達を通じた働く場の提供、就労に必 要な技術や知識の訓練を行う就労支援施設の運営など、障がい者の経済的な自立支援を継続的に行っていま す。

④ ヤマトグループは、より持続的な社会的価値の創造に向けて、社会と価値を共有するCSV(クリエーティン グ・シェアード・バリュー=共有価値の創造)という概念に基づいた取組みを推進しています。当連結会計年 度においては、過疎化や高齢化が進む中山間地域におけるバス路線網の維持と物流の効率化による地域住民の 生活サービス向上を目的とする「客貨混載」について、既存の岩手県、宮崎県に続き、北海道、熊本県におい ても開始したことに加え、宮崎県では日本初となる保冷専用BOX搭載の路線バスを導入し「クール宅急便」の 輸送にも対応しました。また、全国各地で高齢者の見守り支援や観光支援、産物の販路拡大支援など、引き続 きヤマトグループの経営資源を活用した地域活性化や課題解決に取り組み、行政と連携した案件数の累計は 1,928件となりました。

⑤ ヤマトグループは、社会的インフラとしてお客様をはじめ社会の信頼に応えていくために、コンプライアンス 経営を推進し、労働時間管理ルールの見直しや社員の新しい働き方を創造するなど、社員が安心して働ける労 働環境の整備を進め、「働き方改革」に全社を挙げて取組みを開始しました。

(略)

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