大成建設/医療機器所在管理システム「T-Location®.ME」の機能を拡張 物流システム 2023.06.17 医療機器所在管理システム「T-Location®.ME」の機能を拡張 医療機器の管理・運用業務の効率化と導入コストの低減 2017年3月14日 大成建設株式会社 大成建設株式会社(社長:村田誉之)は、2013年に開発した医療機器の所在確認を可能にする管理システム「T-Location®.ME」※1の機能を拡張し、新たに自動貸出機能の追加と、データ受信アンテナの無線化を実現しました。これにより医療機器の管理・運用において、更なる業務の効率化と導入コストの低減が可能となります。 当社は、2007年の医療法改正により医療機関に義務付けられた「医療機器の保守点検に関する計画の策定及び保守点検の適切な実施の指針」※2に対応するため、埼玉医科大学保健医療学部(加納隆教授)の協力を得ながら、フクダ電子の医療機器安全点検システム「MARIS®」※3と連携して、「T-Location®.ME」を医療機関に導入し、医療機器の適正管理による運用業務の効率化を支援してきました。 しかし、医療機器の貸出・返却手続きでは、依然として紙への記入やバーコード読取による管理が行われている場合が多く、特に緊急時には貸出・返却の手続きに不備が発生することが懸念され、医療機器の管理・運用上の大きな課題となっていました。 そこで、当社では、貸出・返却手続きの簡素化により更なる管理・運用の効率化を図るため、「T-Location®.ME」の所在確認・表示機能に、貸出・返却状況を自動で判断・表示・データ共有する自動貸出機能を追加し、そのデータを「MARIS®」に記録、管理するとともに、さらにデータ受信アンテナの無線化を実現しました。 「T-Location®.ME」で拡張した機能は以下のとおりです。 (1) 自動貸出機能 医療機器の保管室での有無を自動判断・表示する自動貸出機能の開発・導入により、すべての医療機器の所在が明確になり、これまで臨床工学技士、看護師などの医療スタッフが個別に行っていた貸出・返却手続きが不要となります。 本機能を導入し約1年間運用した効果として、竹田綜合病院(福島)では、医療機器1,600台の管理・運用で、毎日実施していた平均2〜3時間の貸出情報入力業務が不要となりました。また、市立砺波総合病院(富山)では貸出状況を表示して見える化※4することで、医療スタッフの業務効率化と管理意識の向上につながっています。 (2) データ受信アンテナの無線化 医療機器に装着されたICタグの電波を受信するアンテナを無線化することで配線工事費の削減が可能となり、従来の有線での受信アンテナ導入コストに比べ、2〜3割程度の低減が見込まれます。 今後、当社では、医療機関へ積極的に本システムを提案し、安全・安心な医療環境づくりのため、医療施設における効果的・効率的なサービスの実現を支援してまいります。 ※1 T-Location®.ME(ティ・ロケーション・エムイー)低コストで機器の所在の把握を可能にする所在管理システム 施設内の廊下やエレベーター、階段など医療機器が移動する動線上にある分岐地点周辺にアンテナを設置します。機器がどのアンテナ付近を通過したのかをシステム自らが通過履歴情報(足跡)に基づき、どのエリアに存在する確率が高いかを解析、推定し、その位置情報を提供します。機器位置を認識するアンテナは、移動する動線上に必要最小限を配置するだけでよく、廊下などに一定の距離で設置する場合と比較した場合、大幅なコストダウンを実現することが可能です。 ※2 医療機器の保守点検に関する計画の策定及び保守点検の適切な実施の指針 医療機器を安全に使用するために医療機関に義務付けられる指針であり、2007年4月に厚生労働省から改正医療法「医療安全関連通知」として発出されました。その際に改正内容として新たに義務付けられた項目は以下のとおりです。 医療機器の安全使用を確保するための責任者の設置 従事者に対する医療機器の安全使用のための研修の実施 医療機器の保守点検に関する計画の策定及び保守点検の適切な実施 医療機器の安全使用のために必要となる情報の収集その他医療機器の安全確保を目的とした改善のための方策の実施 ※3 MARIS®(マリス)フクダ電子(株)が提供する医療機器の安全性と効率的な運用をサポートするシステム 医療機器の貸出、返却から機器の安全点検履歴などの情報を記録・管理し、一連の業務フローを制御することで、安全性の高い環境作りから修理履歴やコスト管理まで臨床工学技士の業務を強力にサポートする医療機器のマネジメントシステムです。