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川崎近海汽船/45年ぶりとなった新規航路の室蘭・宮古の開設に大きな期待(2017 年 年頭挨拶)

物流全般 2023.06.17

2017 年 年頭挨拶

社⻑ 石井繁礼

皆さん新年明けましておめでとうございます。2017 年の年頭に当たり、海陸従業員の皆さん、 またグループ各社の皆さんに新年のご挨拶を申し上げます。 昨 2016 年は世界情勢が目まぐるしく変化し、また様々なことが重なり、将来、歴史の転換点 として記憶される年になるかも知れません。特に 11 月、大手 3 社がコンテナ部門を統合する ことを発表し、海運界に激震が走りました。このことは日本の海運産業の地盤が大きく変化 し、我々もその影響を受けざるを得ない事態だと考えています。 一方、我々川崎近海汽船は昨年創立 50 周年を迎え、5 月に多くの皆さんと一緒に盛大に祝う ことができました。また、時代のニーズを先取りするように春にオフショア支援船『あかつ き』が就航し、この秋は⻄⽇本のモーダルシフトの受け皿として清水・大分に定期航路を開 設しました。激しく変化する新しい時代、新しいニーズへの備えを進めているところです。 一方、外航船市況は深刻な低迷から脱しきれていませんが、ここ数年取り組んできた営業規 模の縮小均衡期を経て反転攻勢への準備に取り掛かりつつあります。 振り返ると、2008 年のリーマンショックから始まったこの 10 年の世界情勢は、東日本大震 災、中東情勢の悪化、チャイナショックと続き、そして英国のEU離脱、米国大統領にトラ ンプ氏が決まるなど既存の社会、経済秩序では推し量れない展開が続いており、保護主義の 台頭、グローバリゼーションの後退が起こる気配さえ漂って来ました。それに連なる 2017 年 は当に波乱含みの幕明けとなるわけです。 昨年 3 月に竣工したオフショア支援船『あかつき』は、海底深部探査船『ちきゅう』の南海 トラフ発生帯掘削支援に続き、5 月初めから 10 月末まで半年にわたり島根県浜田沖の天然ガ スの試掘リグの支援に従事しました。しかも、そのガス田は大いに期待できるものであるこ とが判り、政府の推進する海洋開発のさきがけとなる仕事に携わることが出来たわけです。 この分野の次なる期待は、数年後に始まる洋上風力発電とEEZ(排他的経済水域)に広が る海洋エネルギー資源開発となります。 10 月にスタートした清水・大分航路は出だし思いのほか苦戦を強いられていますが、国内の 物流業界にも若手ドライバーの不足、高齢ドライバーの事故の多発と少子高齢化の波は着実 に忍び寄っており、近い将来一気にシャーシ輸送によるモーダルシフトが起こるものと考え ています。従って、なるべく早い時期にデイリー化を、そして安定した航路運営を目指して 現在営業部隊は懸命の努力を続けています。 シルバーフェリーは、苫八航路への新造フェリーの建造が近づきつつあり、また室蘭・宮古 航路の開設に伴う新規乗組員と陸上従業員の採用もほぼ終え、地元自治体の皆さんも含めて 緊張感が高まって来ました。45 年ぶりの新規航路に大きな期待を持ちたいと思います。 北海道は昨夏思いがけず台風の襲来を受け、道路、鉄道に甚大な被害がありました。これか らはJRの動向を見ながら、道内の物流インフラが再構築されることになると考えています。 新規航路や道東唯一の首都圏直行便『ほくれん丸』がその新しい役割を担えればと思ってい ます。 外航営業部は昨年バイオマス輸送チームを立ち上げ、新しいジャンルを積極的且つ持続的に 攻める取り組みを始めました。その為に新造船を交えた新たな船隊を構成し、新しいニーズ に対応することになります。⻑く続く不況のトンネルはまだ抜け出ていませんが、少しずつ その出口に近づいていると見ています。 また、内航不定期船の分野では昨年千津川丸の新造代替が完了し、ここ 2 年で興洋丸、萬洋 丸と合わせ 3 隻の新造船、環境性能に優れた新船が登場しています。この分野は新規の石炭 火力向け専用船のチャンス、そしてオリンピックを控えた荷動きがいよいよ期待できる時期 にさしかかったと捉えています。 私は今年 6 ⽉の総会で社⻑就任から 6 年が経ちます。その間、冒頭でも触れたように世界の 社会・経済情勢は大きく変化しました。企業がこの激動の時代に生き残るには、自力で構造 改革を成し遂げる必要があります。全ての企業が今そのことを迫られ、また呻吟していると ころです。企業の構造改革とは、従業員一人ひとりが意識改革を遂げるところから始まると 考えます。その際に忘れてならないのは、常に安心して働ける職場環境の存在です。それを 阻害する状況はないでしょうか。企業は当に人の集合体に他なりません。皆さんの力を結集 して 51 年目に踏み出して行きましょう。 結びになりますが、洋上で新年を迎えられた乗組員の皆さんを始め海上従業員の皆さん、そ してご家族の皆さん、今年も健康で皆で支えあって、大きな絆の中で安全運航を全うし、顧 客、地域の皆さんから信頼される船会社であり続けたいと思います。 そして全従業員の皆さん、この社会、経済が刻々変化する時代、グループ各社の結束をもう 一度確認し、強い意志を持って新たな未来を築いて行きましょう。

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