川崎汽船/514億9900万円の純損失を計上(平成28年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)) 決算短信 2023.06.17 平成28年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結) 単位・百万円 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益 28年3月期 1,243,932 △8.0 9,427 △80.4 3,338 △93.2 △51,499 - 27年3月期 1,352,421 10.5 47,988 66.3 48,980 50.9 26,818 61.1 (注)包括利益 28年3月期 △78,822百万円 (-%) 27年3月期 62,064百万円 (16.9%) (略) イ.当期の概況 (略) 当期(平成27年4月1日から平成28年3月31日まで)における世界経済は、一部に弱さが見ら れたものの、全体としては緩やかに回復しました。米国では個人消費や住宅投資の増加を背景に 堅調な景気の回復を続けるなか、3月に開催された連邦準備制度理事会では政策金利の誘導目標 水準を0.25%から0.50%の範囲で据え置くことが決定されました。欧州においてはギリシャ財政 危機の課題が残るなか、新たに直面している難民問題などにより一部で弱さが見られたものの、 欧州中央銀行による追加金融緩和に伴うユーロ安が進展し、景気は緩やかに回復しました。一 方、過剰投資の削減、余剰設備の調整が進む中国経済は消費が堅調に増加したものの減速が鮮明 化し、原油をはじめとする資源価格の大幅な下落によりロシアやブラジルなど資源国の経済は悪 化し、アジア新興国の景気にも影響を与えました。 日本経済は、雇用・所得環境の改善により景気は緩やかな回復基調を続けましたが、日本銀行 のマイナス金利付き量的・質的金融緩和の導入によりドル円為替相場は一時的に円安方向に推移 したものの、その後は円高方向に推移し、日経平均株価も乱高下を続け不安定な動きを見せまし た。 海運業を取りまく事業環境は、燃料油価格の下落が進むなか、油槽船では原油価格下落に伴う 備蓄及び輸送需要の拡大による市況の好転が見られたものの、コンテナ船では荷動きが低成長に 留まり、新造大型船の相次ぐ就航と相まって船腹需給のギャップが広がり、運賃市況は低迷しま した。ドライバルク船においても船腹過剰に中国の景気減速などを背景とする需要の減退が重な り、市況は過去最低の水準で推移しました。当社グループでは、配船効率化などの収支改善策へ の取組み、運航コストの削減に努めましたが、前期比で業績は悪化しました。 以上の結果、当期の連結売上高は1兆2,439億32百万円(前期比1,084億88百万円の減少)、営業 利益は94億27百万円(前期比385億60百万円の減少)、経常利益は33億38百万円(前期比456億42百万 円の減少)、親会社株主に帰属する当期純損失は第4四半期連結会計期間に事業を取りまく環境が 構造的な変化に直面するなか、ドライバルク事業部門において当社グループが運航する中・小型 船を中心に船隊規模の縮小を一段と加速させ、市況へのエクスポージャーを低減するため構造改 革を実施し、保有船の処分及び傭船の早期解約、減損損失等の特別損失等を計上したことによ り、514億99百万円(前期は268億18百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。 (略) ① コンテナ船セグメン ト [コンテナ船事業] 当期の積高は、北米航路では米国経済が底堅く推移したこともあり往復航全体で前期比約2% の増加となったものの、その他の航路では欧州経済の不透明感や中国経済の減速、資源安により 需要が低迷し、減便や合理化を進めたこともあり欧州航路では約13%、アジア航路、南北航路で もそれぞれ約15%、約7%の減少となり、当社グループ全体の積高は前期比約5%の減少となり ました。 運賃市況は、北米航路では第3四半期以降は需給バランスの悪化による下落が顕著となったほ か、欧州及び南北航路でも低迷が続いたため、当社平均運賃も全航路で前年を下回る結果となり ました。14,000 TEU型新造大型船5隻の竣工による競争力強化と同時に、需要減少に対応した欧 州航路でのスペースの削減・減便や南北・アジア航路の合理化、空コンテナ回送費削減をはじめ とする各種コスト削減にも引き続き取り組みましたが、前期比で減収となり損失を計上しまし た。 [物流事業] 内陸輸送及び倉庫業をはじめとする物流事業において、国内物流は陸送事業などにおいて堅調 に推移しました。国際物流は、北米西岸の港湾混雑の解消及び中国経済減速の影響から日本を含 むアジア発航空輸出貨物の取扱量が減少し、物流事業全体の業績は前期比で減収減益となりまし た。 以上の結果、コンテナ船セグメント全体では、前期比で減収となり損失を計上しました。 ② 不定期専用船セグメント [ドライバルク事業] 大型船においては、中国の鉄鋼需要停滞に伴い鉄鉱石輸入量が頭打ちとなるなか、冬季の荷動 き増加の影響もほとんど見られず、市況は過去最低の水準で推移しました。中・小型船において も、中国向け石炭輸送が低迷したことや、南米出し穀物積みでの滞船緩和などを要因として船腹 需給バランスが崩れ、市況は低迷しました。当社グループでは支配船処分によるフリー船の縮減 を進めるとともに、運航コストの削減、効率的配船による収支の改善に努めましたが、長引くド ライバルク市況低迷の影響を受けて前期比で減収となり、損失を計上しました。 [自動車船事業] 当期の完成車荷動きは、中国経済の減速を背景に欧州・北米出しのアジア向け貨物や、アジア 出し中南米・アフリカなど資源国向け貨物が伸び悩み、ロシア経済の低迷により欧州域内の荷動 きも減少した結果、大西洋域内貨物や、北米向け日本出し貨物などの増量が下支えしたものの、 当社グループの総輸送台数は前期比で微減となりました。当社グループでは配船及び運航効率の 改善に継続的に取り組みましたが、前期比で減収減益となりました。 [エネルギー資源輸送事業(液化天然ガス輸送船事業・油槽船事業)] LNG船、大型原油船、LPG船は、中長期の期間傭船契約のもとで順調に稼働しました。また、油 槽船事業全般において、市況は当期を通じて好調に推移しました。エネルギー資源輸送事業全体 では、前期比で増収増益となりました。 [近海・内航事業] 近海船においては、市況は低水準で推移したものの、前年並みの輸送量を確保しました。内航 船においては、不定期船輸送では専用船を中心に安定した稼働を維持し、定期船輸送では、大型 船投入による営業展開により、前年を上回る輸送量となりました。近海・内航事業全体では、燃 料油価格の下落に伴う燃料調整金等の減少の影響などがあり、前期比では減収増益となりまし た。 以上の結果、不定期専用船セグメント全体では、前期比で減収減益となりました。 ③ 海洋資源開発及び重量物船セグメント [海洋資源開発事業(エネルギー関連開発事業・オフショア支援船事業) ] ドリルシップ(海洋掘削船)は順調に稼働し、長期安定収益の確保に貢献しましたが、オフシ ョア支援船事業においては、原油価格低迷に起因する海洋開発停滞により軟調な市況の影響を受 けました。海洋資源開発事業全体では、前期比で減収となりましたが、オフショア支援船事業の 海外子会社における外貨建て債務の為替評価損が縮小したこともあり、損失は縮小しました。 [重量物船事業] 重量物船事業においては、大型船によるオフショアプロジェクト関連の輸送・作業の減少及び 全船型における市況の低迷により、前期比で減収となり損失が拡大しました。 以上の結果、海洋資源開発及び重量物船セグメント全体では、前期比で減収となり損失が拡大 しました。 ④ その他 その他には、船舶管理業、旅行代理店業、不動産賃貸・管理業等が含まれており、当期の業績 は前期比で減収減益となりました。 ロ.次期の見通し 次期の業績につきましては、売上高1兆1,000億円、営業利益170億円、経常利益150億円、親会 社株主に帰属する当期純損失350億円を見込んでいます。 (略) 海運業を取りまく事業環境は、中国経済の減速が顕著となるなか、資源需要低迷に伴う新興国 経済の不調、難民問題に起因する政情不安を抱える欧州経済の不確実性などの影響により、荷動 き需要の鈍化が懸念されます。一方、船腹供給圧力が当面継続するなか、需給バランス及び過去 最低レベルの水準を記録した市況の本格的回復には一定の時間を要するものと見ています。この ような事業環境の構造的変化のもと、取り組むべき最重要課題については『「安定性」の確保に 加えて事業構造改革による「競争力」の確保』とする中期経営計画の見直しを実施し、当期に引 き続き、ドライバルク事業及び関係子会社などにおける構造改革の実施による特別損失の発生を 見込んでおります。尚、中期経営計画の見直しについては、3.経営方針を参照ください。 (略)