宇部興産/大粒硫安の増産と合弁会社を設立 SCM・製造拠点 2023.06.17 大粒硫安の増産と合弁会社設立についてのお知らせ 宇部興産株式会社(社長:山本謙。以下「宇部興産」)と全国農業協同組合連合会(代表理事理事長:成清一臣。以下「JA全農」)は、下記のとおり大粒硫安(窒素質肥料)の増産と、出荷・管理に関する合弁会社を設立することで合意いたしました。 両者は肥料の安定生産及び供給体制づくりを通じて、日本の農業生産と農家の生産コスト低減に貢献します。 記 1.硫安とは (1)わが国は、肥料の3大要素である窒素・りん酸・加里のうち、りん酸質肥料、加里質肥料については、ほぼ全量を輸入に頼っています。 (2)一方、代表的な窒素質肥料である硫安は、ナイロンの原料であるカプロラクタムの副産物などとして、主要な肥料のうち、ほぼ唯一、国内で生産されています。 (3)硫安は国内で約50万トンが肥料用として流通しており、そのうち15~20万トンは大粒品(平均粒径:2.0mm超)で、単肥(一種類で散布する用途)向けと、BB肥料(Bulk Blending:粒状の原料を混ぜ合わせた低コスト肥料)の原料向けとして広く使われ、残りは通常の硫安(粉・細粒)で、主に化成肥料の原料と一部は単肥に使用されています。 (4)硫安を大粒化するためには、硫安水溶液を循環・濃縮・結晶化させる基礎的な晶析技術に加えて、大粒化のための特殊技術が必要です。このような設備を持つ工場が限られているため、近年、国内では年間約6万トンの大粒硫安が不足しており、割高な輸入品などを手当てしている状況です。 2.大粒硫安の増産について (1)硫安の国内最大手である宇部興産とJA全農は、大粒硫安の増産について協議、検討を重ねてきましたが、このほど宇部興産ではカプロラクタムの副生物として生産する硫安の大粒化新製造ラインを建設することといたしました。 新ラインは山口県宇部市の宇部ケミカル工場内に年間約6万トンの製造能力を持ち、2018年4月の稼動を予定しています。 (2)増産された大粒硫安は、JAグループを通じて単肥、BB肥料用の原料として全国の農家に供給する予定です。これにより、高品質な国産大粒硫安の安定供給と農家の生産コスト低減が可能となります。 3.合弁会社の設立について (1)宇部興産とJA全農は、大粒硫安の貯蔵・出荷設備を建設し、新ラインで増産された大粒硫安の出荷・管理業務を担う合弁会社を共同出資により2016年5月に設立します。 (2)新ラインの稼動と同時期に合弁会社の貯蔵・出荷設備も完成し、出荷・管理業務を開始する予定です。 (3)なお、合弁会社による設備投資に必要な資金については、農林中央金庫から調達します。 (4)合弁会社の概要は以下です。 商号 日本硫安サービス合同会社 設立 2016年5月(営業開始は 2018年4月予定) 所在地 山口県宇部市(設備は宇部興産・宇部ケミカル工場内) 代表社員 宇部興産、JA全農 出資者 宇部興産50%、JA全農50% 出資金 2億円 業務内容 肥料用硫安の出荷・管理業務 4.両者の狙い (1)宇部興産はナイロン・カプロラクタムチェーンの構造改革による収益改善を図るためカプロラクタムのコスト競争力強化を推進しています。先に決定した中間原料の製法転換に続き、今回の硫安の大粒化新製造ライン建設により、硫安の安定的な供給先確保とともにカプロラクタムのコスト競争力を更に強化することを目指します。 (2)JA全農では、国内外の肥料山元、製造元への資本参画、長期契約締結等を通じ、肥料の安定供給確保に取り組んでいます。今回の取り組みにより、国産の窒素質肥料の安定供給と、農家の生産コスト低減をはかります。 以上