日本貨物運送協同組合連合会/高速道路料金の更なる割引率の引き上げを目指して陳情活動を推進 物流全般 2023.06.17 令和2年 年頭のご挨拶 (掲載日:2020年01月01日) 令和2年 年頭のご挨拶 日本貨物運送協同組合連合会 会 長 吉 野 雅 山 新年明けましておめでとうございます。全国の会員連合会・協同組合の皆様、そして関係団体の皆様におかれましては、希望に満ちた令和2年を迎えられたこととお慶び申し上げます。昨年の6月に日貨協連の会長に再任され早くも2期目となり、その重責に改めて身が引き締まる思いでこの新年を迎えたところであります。 昨年は、一昨年に続き、台風や豪雨災害などの自然災害が猛威を振るい、まずもって、被災された皆様方に心よりお見舞いを申し上げます。また、平常時に加え、災害時においても緊急支援物資輸送するなど我が国の経済と人々の暮らしを支えるのに極めて重要な役割を果たしており、日々絶え間ないご努力によってライフラインを維持しておられる会員の皆様の多大な貢献やご苦労に感謝申し上げます。 昨今のトラック運送業界・協同組合等会員事業者の皆様の経営環境は、少子高齢化の進展による人手不足の深刻化、ネット通販の浸透による小口配送の増加と再配達問題、軽油価格の高止まりによる原価負担、働き方改革法・改正貨物自動車運送事業法への対応など課題が山積している状況です。こうした多くの課題も業界団体として、一致団結し、協同組合のスケールメリットを生かして、解決できることは少なくないものと思っております。 協同組合運営の柱の一つであり、トラック運送事業者にとって原価に占める割合が多く、生産性向上に欠かせない、高速道路料金ですが、先月12月13日に補正予算が閣議決定され大口・多頻度50%割引制度については、本年4月以降もさらに令和3年3月末まで1年間延長され、78億円が措置されたところです。昨秋より国会、行政などへの要望活動に全国の協同組合の会員の皆様や全日本トラック協会など関係団体がご尽力され、また、ご協力いただきましたことに対して改めて心より厚く御礼申し上げます。 なお、大口・多頻度割引の実績値は現状、平均37%前後であり、日貨協連としては全日本トラック協会の理解を得ながら更なる割引率の引き上げを目指して陳情活動を進め、引き続き実質50%割引と恒久化の実現に向け尽力して参ります。 他方、車両制限令違反者に対する罰則強化問題については、引き続き取り締まりの強化が行われていることから、多くの会員事業者の皆様にとって喫緊の課題となっているところです。日貨協連としても会員における関連法令遵守とその啓発に努めているところですが、トラック事業者の責務や努力だけでは解決できない不可抗力とも言うべき状況もあるとの認識から、愛媛県内5協同組合代表・日貨協連で四国選出国会議員、自民党本部、国交省道路局に陳情を行い、「国交省道路局とトラック業界の勉強会」の発足に至ったところです。これら車両制限令の問題は、今年もトラック輸送の実態に即した運用を行って頂くよう、粘り強く要望して参る所存ですので会員各位のご協力をお願い申し上げます。 次に燃料問題ですが、昨年は1月に一旦底を打った後、中東の地政学リスクや、米中貿易摩擦による影響で比較的、原油価格が高止まりし、軽油価格もほぼ一貫して高止まりしている状況です。今後もOPEC加盟国に米国、ロシアなど主要産油国を加えた「OPECプラス」が追加減産の継続に合意するなど新たな動きがありますが、引き続き、中東などの地政学的な情勢や米中貿易摩擦、英国のEU離脱をめぐる混乱などからも不透明感は一層増しており、今後の動向に十分注視していかなければならないと思っています。燃料価格の動向はトラック事業の収益に最も大きな影響を与える要因の一つであり、多くの組合にとっても燃料事業は主要な事業として位置づけられており、日貨協連としても引き続き、毎月の燃料価格調査とその分析結果のご報告、また、原油価格や燃料交渉結果等の動向については、会員の皆様には機関紙等を通じてご連絡いたしますのでご活用頂きたいと存じます。昨年は、日貨協連の取組みにご賛同いただき、新たに燃料共同購入事業に4組合に参加いただきました。「数は力なり」ということで、今後も参加をご検討いただき、会員企業のメリットを追求できる体制を構築していきたいと思います。 次に求荷求車情報ネットワークシステムであるWebKITについてですが、昨年5月に使い勝手の向上を目指し、スマホへの対応や荷物の画像情報、地図情報等を盛り込んだ、WebKIT2への全面刷新を図りました。システム移行当初は、システム障害の発生などもあり、ご迷惑をおかけした点はお詫び申し上げます。現状はこれらの点も改善済であり、5月には新システムへの移行や新天皇の即位に伴う連休、10~11月には消費税引き上げや米中貿易摩擦に起因すると推測される足踏みもありましたが、概ね加入者や成約件数の双方とも順調な伸びを見せております。本年も人手不足への対応、長労働時間の改善、生産性の向上の観点からWebKITを活用することで各々の課題解決の一助となるよう強く期待するところですし、適正に利用して頂けるよう品質向上対策にも引き続き力を入れて参ります。 次に各種保険事業ですが、一時加入者の減少から保険事業の継続が可能か否か心配された全国トラック事業グル-プ保険については、順調に加入者が増加しており、今後は1万2千人台を目指し、業務内外の事故や入院、死亡等給付、保障に役立つ保険として制度の見直しを予定しており、更なる普及に務めて参ります。貨物補償制度については、昨年9月、三井住友海上の協力も得て、抜本的な制度見直しを行い、大幅に保険料も安く、利用いただきやすい商品となりました。その効果もあり、順調滑り出しとなっています。また取引信用保険、ETCコ-ポレ-トカード盗難保険等についても保険内容の見直しや改善に取組むなど、契約者数の確保に繋げたいと存じます。 販売開始から2年目となった、業務用血圧計の販売も、昨年に引き続き年約1,000台のペースで順調に推移しております。さらに普及し、点呼時に活用していただくことで、今後、トラック運送業界の健康管理が促進され、過労死や健康起因事故が無くなるよう期待するところです。 事業用トラックドライバー研修テキストの販売については、各種法令の改正、統計データの差し替えを行った上で、全日本トラック協会で改訂版を制作していただき、4月より改訂版の販売を開始し、約3,700セットの販売となり好評をいただいております。また、このうち、約3割が連合会や組合に取りまとめをお願いしているもので、普及へのご理解、ご協力に改めて感謝いたします。本年3月にも更なる法改正が予定されており、これを反映した改定版の販売を行えるよう準備を進めたいと思っております。 事業用トラックドライバー研修テキストで実施している、連合会・組合の取次業務ですが、昨年、組織強化の観点から、血圧計・ロボット点呼機器にも取次をお願いする仕組みを拡大致しました。テキスト同様、普及についてご理解・ご協力をお願いいたします。 次に、昨年販売を開始したロボット点呼支援機器です。人手不足、特に運行管理者は事務職であり、今年の4月から一般事務職として、年間の残業時間720時間の適用が迫っているところであり、この対応が喫緊の課題となっています。安全を担保したうえで、この問題に対応できるよう、普及を図っているところです。皆様からの注目度も高く、色々なご意見・要望もいただいており、鋭意これらを取り入れて、実証実験や行政への要望を行い、活用しやすい環境を整備したいと思っております。 また、新たに一昨年秋にスタ-トした青年・次世代経営者連絡協議会についてですが、国土交通省、全日本トラック協会の支援を得ながらロボット点呼の実証実験を主体に調査研究を行っております。近い将来、トラック業界における協同組合活動を支える若手経営者の皆さんには新しい時代への対応力、行動力に強く期待しております。若手経営者が集い、活動していく場を今後も引き続き設けていきたいと思っております。 その他、日貨協連から会員組合への情報提供は重要であり、機関紙の編集内容の充実、ホームページやメールマガジンの効果的な運用に努めてまいります。 また、協同組合に未加入のトラック事業者の対策についても、高速道路料金の大口・多頻度割引制度の利用、燃料共同購入事業、各種保険事業などの加入メリットのピーアールなど促進など務めて参ります。 以上、幾つか申し上げましたが、本年も日貨協連の副会長、理事、各委員会委員、会員、事務局の皆さんと共に全国の協同組合が今後、益々発展していきますよう心より祈念申し上げて私の年頭の挨拶といたします。