ヤマト運輸/和歌山電鐵とヤマト運輸が鉄道で宅急便を輸送する「客貨混載」を開始 物流全般 2023.06.17 和歌山電鐵でんてつとヤマト運輸が鉄道で宅急便を輸送する「客貨混載きゃくかこんさい」を開始~貴志川線 田中口駅-神前こうざき駅間で実施し、生活サービスの向上に取り組みます~ 和歌山電鐵株式会社(代表取締役社長:小嶋 光信、以下「和歌山電鐵」)とヤマトホールディングス傘下のヤマト運輸株式会社(代表取締役社長:長尾 裕、以下「ヤマト運輸」)は、本年2月16日より、ローカル電車の路線網維持と物流の効率化による地域住民の生活サービス向上を目的として、貴志川線の田中口駅-神前駅間の電車で宅急便を輸送する「客貨混載」を開始します。 記 1.背景 近年、ローカル鉄道は過疎化・高齢化に伴い乗客数が減少し、廃線を余儀なくされる事例が増えていますが、地域住民の足として重要な役割を担っており、路線網の維持が課題となっています。 和歌山電鐵は、ネコを助けるために駅長とした「たま駅長」で有名になるとともに、乗って楽しい電車を目指した車両の改装やイベント実施を行っています。「鉄道自らが観光資源」となり、観光客の誘致を行うなど、路線の維持や地域活性化に取り組んでいます。 ヤマト運輸は、全国の自治体や企業と連携し、サービスの向上とともに地域の活性化や課題解決を図る「プロジェクトG(Government)」を推進しており、路線バスによる「客貨混載」を全国各地※で実施しています。 このたび、和歌山電鐵とヤマト運輸は、地域住民の生活サービス向上に取り組むため、貴志川線の田中口駅-神前駅間の電車で「客貨混載」を開始します。物流総合効率化法(物効法)の改正後、宅配便の個別配送の一部を担うのは国内初となります。 ※ 路線バスによる客貨混載は9都道府県で実施中 岩手県(2015年6月~)宮崎県(2015年10月~)北海道(2016年9月~)熊本県(2016年10月~)兵庫県(2017年6月~)長野県(2017年10月~)和歌山県(2017年10月~)徳島県(2017年11月~)愛知県(2018年1月~) 2.取り組みの内容 これまでヤマト運輸が宅急便センターから神前地域にトラックで輸送、配達していた宅急便を、貴志川線を利用して輸送し、リヤカー付き電動自転車で配達します。 (1)ヤマト運輸の社員2名が、和歌山太田センターで荷物を集配コンテナに積み込み、田中口駅へ向かいます。 (2)集配コンテナを電車に固定し、社員も電車に乗り込み7時15分に出発します。 (3)神前駅到着後は神前地域に向かい、集配コンテナと自転車をドッキングし、リヤカー付き電動自転車で集配を開始します。 【運用フロー図】 3.「客貨混載」によるメリット (1)地域のお客さま 貴志川線の路線網が維持され、安定的に利用できることで、通学や通院など生活基盤の維持・向上につながります。また、神前地区での配達開始時刻が3時間早まるため、ご在宅時に荷物を受け取りやすくなります。 (2)和歌山電鐵 電車の空きスペースで宅急便を輸送することで、電車の路線網維持につながる新たな収入源を確保することができます。 (3)ヤマト運輸 神前地区は住宅が密集しているため、リヤカー付き電動自転車を利用することで安全性が高まるとともに集配効率が上がります。そして、配達開始時間がこれまでの11時から8時に繰り上がるため、サービス品質の向上と再配達削減による労働環境の改善が見込めます。トラックの走行距離が削減されるため、燃料費やCO2排出量の削減にもつながります。 4.会見の様子 2月5日10時30分より、和歌山県貴志川線伊太祈曽いだきそ駅にて、会見を行いました。 左からヤマト運輸 常務執行役員 関西支社長 北村 稔和歌山電鐵 代表取締役社長 小嶋 光信和歌山運輸支局 支局長 山寺 康人 オリジナルステッカーを貼付した集配コンテナ 5.今後の展開について 貴志川線の各駅にオープン型ロッカー「PUDOステーション」の設置や手荷物預かり、手荷物配送サービスの提供や、県産品の販路拡大に向けた活用も検討し、地域のお客さまの利便性向上や観光振興に取り組んでまいります。