UPS/自律型ドローンを使用した個人宅配達テストを実施 物流全般 2023.06.17 UPSが自律型ドローンを使用した個人宅配達テストを実施 集配トラックに搭載されたドローンが目的地に貨物を配達、移動中のトラックへ帰還 ・ドローン搭載型集配トラックを製造する米ワークホース・グループ(Workhorse Group)社と協力 ・地方の配達ルートにおける効率化の可能性を明示 ・日常のオペレーションへのドローン配送の実装を目的としたテストを初めて実施 国際総合物流のUPS(本社:米国ジョージア州アトランタ)は、UPSの集配トラックの屋根部分から離陸したドローンが貨物を自動で住宅に配達し、その後、他の貨物の配達のために移動中のトラックに戻るというテストに成功したと発表しました。 今回のテストは、現地時間2月20日に米国フロリダ州タンパ市で行われました。テストで使用された電動UPSトラックとドローンは、米国オハイオ州を拠点とするバッテリー電動式トラックとドローンの開発会社であるワークホース・グループ社が製造しました。 UPSのグローバルエンジニアリングおよびサステナビリティ担当シニアバイスプレジデントであるマーク・ワレスは、次のように述べています。「今回のテストは、当社がこれまで行ってきたドローンのテストとは異なり、今後の実際の配達業務、特にトラックが1個の貨物を配達するために何マイルも移動しなければならないような地方での使用を示唆しています。また、配達地点が何マイルも離れた三角形の点を結ぶようなルートの場合、そのうちの1か所だけにでも、集配車からドローンを飛ばして配達することでコストを削減する事が出来ます。これは当社のネットワークの効率化と同時に、排気量の削減にもつながる大きな一歩です。」 UPSジャパン代表取締役社長の梅野正人は、次のように述べています。「UPSは、ビジネスの効率化とお客様へのサービス向上のため、毎年10億ドルをテクノロジーに投資しています。今回のテスト結果は、オペレーションの効率化だけでなく、走行距離の大幅な削減にも繋がると期待しています。」 UPSが独自開発した配送ルート最適化ソフトウェア「ORION(On-RoadIntegratedOptimizationand Navigation)を利用することで、1日1人のドライバー当たりの運転距離を1マイル減らすだけでも、最大で年間5,000万ドルのコスト削減に繋がります。UPSでは、世界中で毎日約10万2,000人のドライバーが配達を行っています。地方の配達ルートは、個々の配達に必要な時間と車両の費用のため、最もコストがかかります。今回のテストでは、ドローンが1件の配達を行う一方で、ドライバーはそのままルートを進み、別の配達を行いました。UPSは、ドローンが将来的にこうした役割を担うようになると想定しています。 「ドライバーが会社の顔である事に変わりはありません。ドローンが配送ルート上の各所でドライ バーを支援することで、時間を節約し、e コマースの成長によって高まっている顧客サービスのニ ーズに対応できようになるといった可能性に期待しています」とワレスは述べています。 今回のテストでは、ワークホース製の電気/ハイブリッド配送トラックに搭載された高効率オクトコ プター配達ドローン「Workhorse HorseFly™ UAV デリバリーシステム」が使用されました。この ドローンは、集配トラックの屋根部分に搭載され、ドローンの下部に設置されたケージ(かご)が 屋根のハッチを通じてトラック内部にぶら下がっています。車内のドライバーがケージに貨物を入 れ、タッチスクリーンのボタンを押すとドローンが離陸し、あらかじめ設定された住所まで、自律 ルートで向かいます。バッテリー駆動の HorseFly ドローンは、屋根にドッキングされている間に 充電され、1 回の充電で 30 分間の飛行、最大 10 ポンド(約 4.5Kg)の貨物の輸送が可能です。 ワークホースの創立者兼 CEO であるスティーブン・バーンズは次のように述べています。「この技 術が今回のような実用的な方法で活用されることを喜ばしく思います。当社のドローンは完全自律 型で、パイロットを必要としません。ドライバーは、ドローンが配達を行っている間に、他の配達 を自由に行うことができます。」 UPS は、長年ドローンを含む自動化とロボット技術に関するテストを行ってきました。 昨年 9 月に は、米マサチューセッツ州ビバリー市の大西洋沿岸から 3 マイル(約 5km)離れた島まで、緊急医 薬品の試験輸送を行いました。 UPS はまた、人道的支援においても広範囲にドローンを使用し、 ルワンダでは、遠隔地に救命血液とワクチンを配達するため、第三者組織と提携しました。 UPS は また、自社倉庫内の高い棚にある在庫確認などでもドローンを活用しています。 今回の UPS のドローンテストは、これまで行ってきたものとは異なり、通常オペレーションの一貫 として、緊急ではない住宅地向けの配送支援での活用の可能性を示しています。 2016 年に米連邦航空局(FAA)が発行した小型無人航空機システムに関する規則は、ドローンの 一定の商用利用を認めるものであり、将来的にドローンの活用用途をさらに広げる道が開かれまし た。 UPS は、FAA のドローン顧問委員会を構成する、主要なステークホルダーから成る 35 組織の 1 つに選ばれました。 同委員会は、全米航空システム(NAS)内におけるドローンの安全かつ確実 な運用を最終的に可能にするドローンインテグレーションの課題に関する FAA の推奨事項をまとめ る予定です。