日立製作所/大みか事業所にてIoTを活用した高効率生産モデルを確立 物流システム 2023.06.17 大みか事業所にて、IoTを活用した高効率生産モデルを確立 お客さまとの協創を推進し、「Lumada」のソリューションコアとして2017年度に提供へ 株式会社日立製作所(執行役社長兼CEO:東原 敏昭/以下、日立)は、情報制御機器・システムを設計・製造するサービス&プラットフォームビジネスユニット 大みか事業所(茨城県日立市)にて取り組んできた生産改革において、IoTを活用した高効率生産モデルを確立し、代表製品*1において、生産リードタイムの50%短縮を実現しました。今後は、大みか事業所で製造する他の製品にも高効率生産モデルを適用し、システムの精度と汎用性を高めていきます。また、お客さまやパートナー企業に大みか事業所を公開し、高効率生産モデルを共有することにより、お客さまとの協創を推進し、IoTプラットフォーム「Lumada」のソリューションコアの一つとして2017年度に提供を開始する予定です。 大みか事業所では、長年にわたり、モノづくりの効率化と品質向上に取り組むとともに、日立グループの構造改革「Hitachi Smart Transformation Project」の一環として、約8万個のRFID*2タグを活用し、工程の見える化によるムダを排除する「RFID生産監視システム」を導入しました。また、個別受注生産比率を縮小し、個別設計を減らして設計・調達工程での生産リードタイムの短縮を図る「モジュラー設計システム」を導入するなど、高効率で柔軟かつ持続性の高い多品種少量生産に向けた取り組みを行ってきました。 一方、顧客ニーズの多様化やデジタル化の急速な進展により、製造業においては、IoTを活用し多様なニーズに即応できる生産システムを構築することが求められています。 こうした中、大みか事業所では、これまでの取り組みを深化させ、2015年からIoTを活用し、EtoE(End to End)の視点でサプライチェ-ンと工場の生産活動をデジタル化することで、需要の変化に即応でき、人員や部品などのリソ-スを最適配分し、生産全体の最適化と品質向上を図る「Optimized Factory*3」の実現に向け取り組んでいます。その一環として、このたび、新たに「作業改善支援システム」と「工場シミュレーター」を導入し、これらと「RFID生産監視システム」と「モジュラー設計システム」をあわせた4つのシステムを連携させることで、人・モノ・設備の情報を循環させる高効率生産モデルを確立しました。 具体的には、「RFID生産監視システム」により各工程の進捗を把握し、遅延が発生した工程の対策を検討します。また、「作業改善支援システム」により作業時間が通常よりも長くかかっている生産工程を検出し、画像分析などにより問題点を可視化し、対策・改善を行います。蓄積された改善結果は「モジュラー設計システム」を通じて製品設計などに反映します。これら3つのシステムから得られる生産実績データと納期などの情報をもとにした「工場シミュレーター」による最適な生産計画に基づいて、人員や部品などのリソースを最適に配分することで、生産リードタイムを短縮するとともに、部品の早期入荷を抑制します。このように4つのシステムで情報を循環させ、生産計画の進捗把握と対策・改善、その改善結果の製品設計へのフィードバック、より精度の高い生産計画を立案し、更なる改善の実行を繰り返すことで、生産の高効率化を図ります。その結果、大みか事業所では、代表製品において、生産リードタイムの50%短縮を実現しました。 今後、日立は、大みか事業所において、今回確立した高効率生産モデルの適用製品を拡大するとともに、各システムの精度と汎用性を高めていきます。また、大みか事業所をお客さまやパートナー企業に公開し、高効率生産モデルを共有することにより、お客さまとの協創を推進し、IoTプラットフォーム「Lumada」のソリューションコアとして2017年度に提供を開始する予定です。 人・モノ・設備の情報を循環させる高効率生産モデル 「RFID生産監視システム」は、各工程の進捗をリアルタイムに把握し、遅延が発生した工程に対して、人員シフトなどの迅速な対策を可能とします。 「作業改善支援システム」は3D画像での作業指示によって作業品質を向上させるとともに作業を画像で記録します。さらに、作業時間が標準より長い、ボトルネックとなる生産工程を検出し、画像分析によって問題点を可視化し作業改善も行います。 両システムに蓄積された実績データをもとに、工程改善や作業改善の結果を「モジュラー設計システム」にフィードバックし、モジュラー設計*4の適用率を向上し個別設計を更に減らしていきます。 「工場シミュレーター」は、受注品の生産仕様や要求納期に応じて、各システムから得られた各工程の最新の生産能力と、原単位*5をもとに、工場全体の生産計画の最適化、実行可能な対策工程の立案、部品発注量の最適化などを行います。また、標準原単位(部品、生産手順、標準作業時間などの基準を定めたもの)と実績の差分からさらに精度の高い原単位を抽出し、シミュレーション結果の精度をさらに高めていきます。 このように4つのシステムで情報を循環させ、生産計画の進捗把握と対策・改善、その改善結果の製品設計へのフィードバック、より精度の高い生産計画を立案し、更なる改善の実行を繰り返すことで、生産の高効率化を図ります。 人・モノ・設備の情報を循環させた高効率生産モデル *1 代表製品:電力や社会産業分野向けの制御装置。大みか事業所で製造している製品の約20%程度を占める。 *2 RFID:Radio Frequency Identificationの略称。ICと小型アンテナが組み込まれたタグやカード状の媒体から,電波を介して情報を読み取る非接触型の自動認識技術。 *3 Optimized Factory:国際電気標準会議(International Electrotechnical Commission, IEC)の”未来の工場”の標準化の方向性を定める白書「Factory of the future」の中で日立が提唱する「共生型ものづくり社会」の概念にもとづいた次世代の製造向けソリューション。 *4 モジュラー設計:設計・製造時の擦り合わせ作業をできるだけ少なくするために構成要素(部品)の規格化・標準化を進め、その相互依存性を小さくすること。 *5 原単位:部品、生産手順、標準作業時間などの基準を定めたもの。 Hitachi Social Innovation Forum 2016 TOKYO での紹介について 大みか事業所での取り組みは、日立が2016年10月27日(木)~28日(金)に東京国際フォーラムで開催する「Hitachi Social Innovation Forum 2016 TOKYO」において紹介します。