飯野海運/経常利益は前年比40・6%減(平成29年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結))
平成29年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)
単位・百万円
売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
29年3月期第1四半期 22,110 △11.1 2,241 △10.4 1,410 △40.6 892 △63.4
28年3月期第1四半期 24,877 △2.0 2,500 1.3 2,372 18.7 2,436 24.9
(注)包括利益 29年3月期第1四半期 △382百万円 (-%) 28年3月期第1四半期 3,205百万円 (48.2%)
(略)
(1)経営成績に関する説明
当第1四半期連結累計期間の世界経済は、米国を中心とした先進国で緩やかに景気拡大の動きが見られました が、英国のEU離脱決定により先行きに対する不透明感が高まりました。米国では、所得の改善や堅調な個人消費を背 景に緩やかな景気拡大が続いたものの、雇用環境の減速等により、利上げには慎重な姿勢が示されました。欧州で は、堅調な個人消費と設備投資を背景に景気は緩やかに回復する一方で、英国のEU離脱決定により景気後退のリスク が増大しました。中国では、個人消費・設備投資の鈍化や輸出の頭打ちを背景に景気は緩やかに減速しました。 わが国経済は、所得・雇用環境は改善が続いておりますが、英国のEU離脱決定や円高・株安が景気を下押しする リスクもあり、先行き不透明感が高まりました。 当社グループの海運業においては、為替が前年同期に比べ円高に推移したことや一部の船種での市況の低迷等によ り、事業を取り巻く環境は厳しいものとなりました。このような状況の下、既存契約の有利更改への取り組みをはじ めとして、効率配船及び運航採算の向上を図りました。不動産業においては、飯野ビルディングをはじめとする各ビ ルが順調に稼働しており、安定した収益を確保しました。 以上の結果、売上高は221億10百万円(前年同期比11.1%減)、営業利益は22億41百万円(前年同期比10.4%減)、 経常利益は14億10百万円(前年同期比40.6%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は8億92百万円(前年同期比 63.4%減)となりました。
各セグメント別の状況は次の通りです。
①外航海運業
当第1四半期連結累計期間の外航海運市況は以下の通りです。 オイルタンカーにおいては、原油安を背景とした中国等の需要に引き続き支えられ、市況は比較的堅調に推移しま した。 ケミカルタンカーにおいては、全体的な市況を押し上げていた北米及びカリブからアジア向けのメタノール輸送等 の長距離輸送が減少しました。また、インド・パキスタン向けのパームオイルの輸送需要も低迷した為に、船腹の需 給バランスが緩み、運賃市況は総じて軟化しました。プロダクトタンカー市況は、在庫高等による荷動きの低下によ り低調に推移しました。 大型ガスキャリアのうち、LPGキャリアは新造船の集中的な竣工による船腹供給の増加から市況は引き続き軟化傾 向となりました。LNGキャリアは稼働船腹量に対する輸送需要の伸びが限定的で、スポット市況は低水準に留まりま した。 ドライバルクキャリアにおいては、船型によっては老齢船のスクラップが新造船の竣工隻数を上回り、船腹供給圧 力は低下したものの、中国経済の減速に伴う中国向け荷動き減少の影響が大きく、市況は全ての船型において歴史的 な低水準にて推移しました。 なお、当第1四半期連結累計期間における当社グループの平均為替レートは111.79円/US$(前年同期は120.97 円/US$)、平均燃料油価格はUS$192/MT(前年同期はUS$349/MT)となりました。 このような事業環境の下、当社グループの外航海運業の概況は以下の通りとなりました。 オイルタンカーにおいては、支配船腹を長期契約に継続投入し、安定収益を確保しました。 ケミカルタンカーにおいては、中東からアジア及び欧州向けの基幹航路では、安定した輸送数量を確保し効率的な 配船を維持しました。東南アジアからインド、パキスタン向けのパームオイル輸送量の減少に対しては、石油化学製 品のスポット貨物の集荷や北米への配船によって、需給バランスを整え、安定した稼働を維持しました。当社と米国 オペレーターとの合弁事業会社では大西洋域内を中心に、数量輸送契約に加えてスポット貨物も効率的に集荷し、高 稼働を維持することが出来ました。プロダクトタンカーにおいては、支配船腹を中長期契約に継続投入しました。 大型ガスキャリアにおいては、LPGキャリア及びLNGキャリア共に既存の中長期契約へ継続投入することで安定収益 を確保しました。 ドライバルクキャリアにおいては、石炭専用船とチップ専用船は順調に稼働し、パナマックス船隊は数量輸送契約 への投入、不採算船処分等を実施し、採算の向上を図りました。一方、ハンディ船は、基幹となる中東航路における 荷動きは堅調に推移し、新たに競争力のある大型船も期間用船することにより、採算の向上に努めましたが、運賃市 況低迷の影響を避けることが出来ませんでした。 以上の結果、外航海運業の売上高は162億6百万円(前年同期比17.8%減)、営業利益は13億56百万円(前年同期比 3.1%減)となりました。
②内航・近海海運業
当第1四半期連結累計期間の内航・近海海運市況は以下の通りです。 内航ガス輸送においては、LPG需要は季節的要因により大幅に減少し、石油化学ガスもプラントの定期修繕やトラ ブル等で生産量は減少しました。内航ガス船の船腹量に大きな変化は見られず、海上荷動きは軟調に推移しました。 近海ガス輸送においては、中国経済の成長鈍化に加え、同国向け主要貨物であるプロピレンの中国国内生産が増加 したこともあり、荷動きは減少傾向となりました。 このような事業環境の下、当社グループの内航・近海海運業の概況は以下の通りとなりました。 内航ガス輸送は、エチレン船1隻を期中に処分したことや入渠等により稼働が低下しました。LPGの不需要期とい うこともあり、スポット船を中心に市況低迷の影響を受けたものの、石油化学ガスの中長期契約を中心に安定的な稼 働を確保しました。 近海ガス輸送は、一部の船舶で契約の有利更改を果たしましたが、市況低迷の影響を受け、採算は悪化しました。 以上の結果、内航・近海海運業の売上高は20億22百万円(前年同期比13.6%減)、営業損失は1億18百万円(前年 同期は営業利益1億45百万円)となりました。
③不動産業
当第1四半期連結累計期間の不動産市況は以下の通りです。 都心のオフィスビル賃貸市況においては、企業業績の改善、人員拡大等を背景としたオフィスの拡張・統合需要に より、引き続き既存ビルを含めた全体の空室率は低下し、緩やかながら賃料水準は上昇傾向で推移しました。 貸ホール・貸会議室においては、多数の競合施設がある中、厳しい顧客獲得競争が続きました。 不動産関連事業のフォトスタジオにおいては、広告需要、雑誌需要とも低迷し、使用料の単価も低調に推移しまし た。 このような事業環境の下、当社グループの不動産業の概況は以下の通りとなりました。 賃貸ビルにおいては、所有する各ビルにおいて良質なテナントサービスの提供に注力し、概ね順調に稼働しまし た。 当社グループのイイノホール&カンファレンスセンターにおいては、セミナー、講演会、映画試写会、その他催事 の積極的な誘致により、稼働は堅調に推移しました。 スタジオ関連事業を行うイイノ・メディアプロにおいては、主力のスタジオ部門及びレタッチ、ロケーション、プ ロダクションの各部門で積極的な利用誘致に努めましたが、各種宣伝媒体の需要減少により、稼働は低迷しました。 以上の結果、不動産業の売上高は39億2百万円(前年同期比37.3%増)、営業利益は10億3百万円(前年同期比 4.8%増)となりました。
(略)